快作、怪作!/「怪獣の飼育委員」ほか
たまには読んだ本のレビュー(ネタバレ少なめ)でも。というわけで、
●「怪獣の飼育委員」
島崎無印先生の商業デビュー作です。
怪獣の飼育委員 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
- 作者: 島崎無印
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2015/10/13
- メディア: コミック
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※1巻はKindle版も出ています。
怪獣の飼育委員 (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
- 作者: 島崎無印
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2016/02/12
- メディア: コミック
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本日2/12が2巻の発売日でした。
しまざきさん(Twitterで馴染みあるお名前で、あえて書かせて頂きます)のやさしい漫画やイラストにはいつも癒やされています。
そんなしまざきさんのデビュー作は、いろいろな妄想がかき立てられるタイトルと表紙イラストのパッケージ。「怪獣と言いつつ、やっぱり女の子がかわいいゆるふわな漫画なのかな」と思って読んでみると、ところがどっこい。不思議な重みのある怪作だったというのが正直な感想です。
女の子が"飼育委員"として怪獣の面倒をみるシーンから始まったかと思えば、怪獣が原因で滅んだと思われる旧市街が出てくる。怪獣墓場が出てくる。
もちろん女の子たちのかわいさと優しさが本作を読ませる推進剤であることは間違いないです。ですがそれ以上に、読んでいるうちに以下のような疑問が次々と沸いてくるんです。
「この漫画の怪獣ってどんな生き物なの?」
「怪獣をやんわり隔離しつつ、そーっとそーっと怪獣と共存を図ろうとしている人類。いったいどんな世界なの?」
「なにも言わないけど優しい怪獣、どうされちゃうの?」
そんな疑問に対して、ちらり、ちらりと回答の片鱗が提示される。読者の想像に委ねられる部分を良い意味で残しつつ、お話は、しまざきさんならではの、少女と怪獣のあたたかくて優しい心の交流を描いていきます。
そんな本作は、2巻完結です。
もっともっと読んでみたかったです。個人的に一番好きだったエピソードは、かつての怪獣と人類の激しい戦闘を少しだけ描きつつ、その傷が長いときを経た今、じわりと癒えて終わりを迎えるようなお話だった「星屑のバラード」です。
さくっと読めてしっかり心に残る漫画でした。短い漫画を探している方にはもってこいかも知れません。
●「背すじをピン!と」
背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜 1 (ジャンプコミックス)
- 作者: 横田卓馬
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/11/04
- メディア: コミック
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ジャンプで連載中の漫画で、個人的に推したい作品です。
現在3巻まで。Kindleもあります。
「競技ダンス」を扱う部活もので、最初はその手の作品でお約束のスポーツの解説(チュートリアル的な展開)から入るのですが、気がついたらキャラクターたちの物語に巻き込まれて読まされている、そんな感じの作品でした。
いつの間にかチュートリアルは終わっていて、ほんのり甘い、あるいは苦い、青春の味が物語に混じってくる。ただかわいいだけだと思ってた(このかわいさが反則級なんですが)ヒロインのわたりさんが、彼女らしいトラウマを持っていたり、それを主人公とちょっとずつ乗り越えていく姿が、もうなんというか、いじらしい…!
主人公のつっちーも、とにかくいいキャラなんです。弱っちい感じなのに、ここぞというところで笑わせてくれる、頼りないけど頼れちゃう。
サブキャラたちも、みんないい。特に部長。
私も、こんな青春したかったなあ……。
●「嫌われる勇気」
最近、対人関係でいーろいろ悩むことがあるのですが、そんな心を随分軽くしてくれた本でした。
一番頭に残った一節は、「あなたが誰かに嫌われているということ。それはあなたが自由を行使し、自由に生きている証であり、自らの方針に従って生きていることのしるし」でした。
もちろん、単純に悪事を働いたり迷惑を振りまいて嫌われているのであれば、それだけのことでしょう。
だけど、何か信じることがあって行動して、あるいは好意をもって人に接して、それが誰かの反発を招いたり認めてもらえなかったとしても、それは自分が間違っているのではなくて、それだけ自分なりの、個性ある生き方をできているからだと。そう考えられるようになりました。
この本を読む前に比べて、流行の言葉を使うならば、承認欲求というものがぐっと減りました。大事なのは誰かに承認されることよりも、自分自身の生きたい生き方を達成していくこと。
その「生きたい生き方」に誰かの承認が本当に必要だと思っちゃうのならば、それはきっとその人のことが好きってことで、本書にも書かれていますが、誰か好きな人、仲良くなりたい人がいるならば、「相手のことを信じること」「自分が変わること」だけが、自分のできること。相手を変えることも、相手の考えを変えることもできない。
私はまだまだ心根が子どもなので、おーなるほどなあと、Kindleでマーキングしたりメモを取ったりしながら読みました。
読みやすい対話形式の内容で、いろいろと考えさせてくれる本書。伊達に、2015年に売れまくったビジネス書ではありません。