ポジティブ物書きの雑記帳

物書き、弥生肇のブログ

2016年夏を盛り上げる、3つの電子書籍企画

今夏は電子書籍界隈でおもしろい動きがいくつかありますので、ここでご紹介したいと思います。

【前置き/電子書籍未体験の方へ】

本題に入る前に、以下のような意見をお持ちの方のために、電子書籍のいいところを簡単に記載しておきます。

Kindleとかの、電子書籍専用端末を持ってないから読めないんです」

専用端末は不要です。スマホでもタブレットでもパソコンでも読めます。
詳しくは、ちょい古いですが下記記事を。


「紙の本でいいじゃねーか、電子書籍なんか!」

電子書籍でしか出てない本がいろいろあります
・紙の本は置き場の問題があります
・手軽に持ち運べます
・紙の本より安いことがほとんど

私自身も紙の本が大好きです。でも置き場に限りがありますし、電子書籍には特有のメリットがいろいろあります。
もし電子書籍の食わず嫌いをしている方がいるならば、読むためのアプリは無料、電子書籍も無料本がいろいろあるので、お試しにでも触ってみることをオススメします

 

【本題/今夏を盛り上げる3つの電子書籍関連企画】

1.Kindle unlimited

Amazonが提供している電子書籍Kindleで、8月から読み放題サービスが始まると言われています(米国や中国その他、いくつかの国で既に行われているサービス)
現在、Amazonの公式見解はサイトから消えてしまっているのですが、一時期サイトで「980円で5万5千冊読み放題」という情報ページが出ていました。

読み放題の対象書籍は、出版社・出版者が了承した書籍になるようです。集英社が参加しないと宣言しているようですが、講談社小学館は参加を決めている模様。ただ、結局どの程度の本が対象になるかは始まってみないとわからないので、なんとも言えません。セルフパブリッシング(個人出版)本が大半になるのではないか、とも言われています。

NPO法人日本独立作家同盟理事長の鷹野凌さんが書かれた下記記事がとても詳しいので、興味ある方はご覧ください。

また、このKindle unlimitedがリリースされると思われる時期に合わせて、最大手規模のAmazon Kindle情報を提供しつづけている「きんどるどうでしょう」さんが、コミックマーケットにちなんで『アンリミケット』と命名した企画を実施します

どのような企画かについてを上記記事から引用すると、以下2点。

1. 7月下旬までに同人誌・もしくは個人出版物をKindle電子書籍にする (*すでにKindle配信済み作品は除く)
2. Twitterハッシュタグ #アンリミケット にキャッチコピー/作品名・作品URLをツイート

要するに、7月下旬~末にKindleで新たに電子書籍を刊行してハッシュタグをつけてつぶやけば、きんどうさんが宣伝に協力してくれるという企画です。

作家さんの方々は、電子書籍化してない既存作品などをこの機会にKindle本にしてひとくち乗るのも面白いと思いますよ。

 

2.COMITIA117「紙&電子同時発行」企画

コミティアという、オリジナル作品(※二次創作でない作品)の最大級同人誌即売会が東京で年4回開催されていて、今年の8月21日で117回目。(なお、東京以外にも日本各地で開かれています。東京だけで117回目)

そのコミティア開催日の8/21に、紙の同人誌と電子書籍の同人誌を同時に発刊してまとめて宣伝して、紙の同人界と電子書籍の側とで盛り上げようという企画があります。

詳しくは上記公式サイトを見て頂ければと思いますが、

コミティアのグループ活動「部活動」に参加して共同認知を図る
電子書籍に「COMITIA117新刊」というタグを入れて検索で拾われやすくする
KADOKAWA系列の電子書籍ストアBOOK☆WALKERが協賛してくれていて、BWに登録された該当電子書籍はこの企画のBW内まとめサイトに入れて頂ける

などの特徴があります。

コミティア参加者の方は、この機会にぜひ電子書籍にも手を出してみてはいかがでしょうか。私も間に合うかわかりませんが、新刊を合わせようと企んでいます。

 

3.セルフパブリッシング 夏の100冊 2016

作家が出版社を通さずに本を刊行することを、電子書籍では特に「セルフパブリッシング」、略して「セルパブ」と呼称することが多いです。
電子書籍の刊行は、紙の本に比べて低コストで実施できます。それゆえ今はたくさんの作家さんが自由に小説、エッセイ、写真集、その他様々なジャンルの本を刊行しています。

有名な商業作家さんがセルパブを行うこともありますが、ほとんどのセルパブ作家さんは残念ながら無名。本を刊行しても、知ってもらう機会に恵まれません。

そんなセルパブ作家さんたちの本の情報をまとめて出してしまった企画が、「セルフパブリッシング 夏の100冊 2016」です。大手出版社が小さな冊子にまとめて夏に配っているアレの、セルパブ版です。

この企画は、「ぱぶにゃん」を名乗る謎の生物(Twitterアカウント)が立ち上げ、100人強の作家さんに声をかけてまわり、かたちにしてしまいました。(※ぱぶにゃんが何者なのか、声をかけてもらった私も実はよくわかってません)

できあがった紹介本は本の紹介だけでなく、いくつかのセルパブ作家さんの対談なども掲載しています。しかも無料。上記サイトから本へアクセスできます。

セルパブは確かに商業出版物に比べて洗練されていない面があるかもしれません。しかし、セルパブにしか扱えないジャンル、内容、他のどこにもないような小説などに溢れています。この「夏の100冊」をぺらぺらめくっているだけで、予想だにしない内容の本との出会いが必ずあります

また本件以外にも今夏、「このセルパブがすごい!」という企画が動いています。こちらはたくさんの人たちに票と感想を募り、セルパブ本の中でもオススメの、注目されている本がわかる内容となるようです。興味がある方はそちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

以上、3つの企画を挙げてみました。他にも私の知らない電子書籍の企画があるかもしれませんね。

今はSNSのタイムラインや各種情報ソースから、莫大な情報が勝手に届けられてくる時代です。本やゲームや様々なコンテンツの情報が濁流のように流れてきて、しかも無料のものがたくさん。選ばなければ、遊ぶものに困ることはないでしょう。

しかし、そんな毎日になぜか退屈を感じることがありませんか? それは、自分の本当に望むもの、楽しいと感じることを探すプロセスを経ていないからだという気がします。
要は宝探しです。宝は簡単に見つからないからこそ、見つけたときの感動もひとしお。楽しむためのコンテンツも、流れてくる評価の高いものをそのまま受け取って遊んでも、探す苦労なく宝を受け取っているから、その娯楽から得られる喜びが無為に減ってしまっている気がします。
そうではなく、誰も知らないような宝を自分の手で見つけ出してみませんか。発見したときの快感、誰かに教えたくなる気持ちは、その瞬間にのみ感じられるユニークなものだと思います。
電子書籍に限らず、そういう娯楽の探し方をすると、毎日がちょっと楽しくなるかもしれません。