ポジティブ物書きの雑記帳

物書き、弥生肇のブログ

オリオンと、悖らず・恥じず・憾まず

 今日明日はオリオン座流星群がよく見える日のようです。

私も先ほど、夜空を眺めてきました。
東京の明るい夜空でも、ベルトの三連星と周囲の星を見つけることができました。流星群は見えませんでしたが、久し振りにぼーっと夜空を眺めたのはちょっと楽しかったです。


閑話休題


今日のブログは、10/24に台湾高雄市で開催される艦これオンリー同人誌即売会砲雷撃戦!よーい!第二十戦目」に参加をするので、その告知をと思って記事を立てています。
なぜオリオン座から記事を書き始めたかというと、今回書いた新刊のサブテーマにオリオン座を絡めたからです。

新刊は「雪風九十九島のオリオン」です。

f:id:yayoihajime:20151022002644j:image10/20に印刷所栄光さんに入稿して、10/21に刷り上がった本が自宅に届く。基本的にやってはいけない、「当日プラン」を今回もやっちまいました。栄光さんありがとうございます……。f:id:yayoihajime:20151022011339j:plain
告知画像(おしながき)、クリックで拡大。イベントに来られる方は是非A-20へお立ち寄りください~。
 

●今回の新刊を書いた背景など

太平洋戦争を生き残った"奇跡の駆逐艦"「雪風」は、復員輸送任務の後に賠償艦として台湾へ引き渡され、中華民国海軍旗艦「丹陽」に生まれ変わり、戦後も20年以上台湾で稼働し続けました。
ゲーム「艦これ」ではそんな雪風を、超がつくほど明るく前向きでひたむきな女の子に擬人化しているのですが、彼女はきっとただ明るいのではなく、それだけの悲劇と誰にも言えない想いを抱えたまま、他のどの艦よりも長い間働き続けたからこそ、そういうキャラクターたりえてるのだと思います。

艦これ雪風について語るといつまでも告知に入れないので止めますが(いつか雪風に関してのブログ記事を書きます)。

そんな雪風のことが私は大好きで、雪風=丹陽が最期を迎えた台湾での艦これオンリーイベント、それもイベント主催の前川さんが、雪風のスクリューが保管・展示されている高雄市海軍軍官学校の見学会を敢行してくれる(軍施設なので、個人で行ってもスクリューは見ることができません)ということだったので、台湾行きとイベント参加を決めました。
サラリーマンを辞めてから困窮している私ですが、まだ社畜時代に出張しまくって溜めたマイルが残ってたので、それでフライト代を捻出しつつ……。

そして、せっかく台湾で同人誌を頒布するなら、丹陽の話を書くしかない!
というわけで、新刊は、「丹陽となった雪風が日本へ里帰りする話」を書きました。
実在の駆逐艦雪風は台湾へ渡ったあと、一度も日本へ帰ることなく艦命を終えます。1960年代に雪風返還運動が起き、当時の岸総理大臣も巻き込みながら台湾との交渉が行われましたが、その間に老朽化した丹陽が台風で破損し、結局解体されてしまったというのが、一般に言われている史実です。(他にいろいろな背景を推測する説がありますが、詳細は明らかになっていません)。
ですがそんなのは悲しすぎるので、二次創作でくらい、雪風にちょっと違う想いをさせてあげたい。そんな気持ちが発端で、今回の話を作っています。
でも極力史実にも沿うよう、ストーリーにいろいろな工夫を仕込んでみました。

雪風の短編小説を書くのは4作目ですが、今回もとある艦娘に登場してもらっています。
その艦娘と関係ある創作物に「オリオン座」が出てくるものがあったので、タイトルやストーリーのサブテーマにオリオン座を盛り込んでみました。
ギリシア神話の猟師オリオンには含蓄に富んだ設定があります。父である海神ポセイドンから海上を歩ける能力を授かり、オリオンは無類の優れた狩人となり、己の力に驕るようになります。ですがある日、地中から現れたサソリに刺されて死んでしまいます(たくさんあるオリオンの逸話の一つです)。
優れた狩人で海上を自由に動き回る力すら持っていたのに、地上でサソリにやられてしまう。これは、なかなか考えさせられます。
オリオンの「海上を歩ける」とか「優れた狩人」とかいう点は、なんかそのまま艦娘を想起してしまいました。加えてオリオンの性格を見ているうちに、アニメ「艦これ」の中に出てきたとあるフレーズを思い出しました。水雷魂、「悖らず・恥じず・憾まず」です。
己の力に溺れたり、非力を恥じたり、他者を疎んだり嫉んだりしない。ただありのままに自己の研鑽を積み、己を見つめ、成長する。そんな風に私は解釈していて、この言葉はアニメ艦これの主人公「吹雪」の生き様を見事に表してると思いました。
私はなかなか実践できなくて、成功したら鼻高々になるし、失敗したら凹むし周囲に当たり散らすし、成功者は妬ましいです。
でも、そういう己を、ほどよく律することができるならば。人生はちょっと楽しい方向に変わる気がするんですね。"ほどよく"というのが大事で、水雷魂を徹底しすぎると、それはそれで窮屈に過ぎる日々になってしまうと思います。
そんな想いをテーマにして、今回のストーリーの中にそっと溶かしてみています。 

ちなみに「九十九島」というのは、佐世保の群島がある海域を指します。国立公園に指定されています。私は佐世保育ちで、雪風佐世保生まれの艦です。というわけで、お話の舞台は佐世保です。

台湾のイベント以降も、11月の広島での艦これオンリーや、12月冬コミ(当選してれば)などでもこの本は頒布予定です。
よろしければ、お手に取ってみてくださいませ。
あ、小説の冒頭だけはpixivに置いています。あまりネタバレしたくないので本当に冒頭だけです、ごめんなさい。

全然イベントの告知にフォーカスしてない記事になってしまった……。